病理学は、基礎医学と臨床医学を結びつける要に位置する学問分野です。皆さんはここで初めて、いろいろな疾患について系統的に学ぶことになります。病理学においては、遺伝学、生理学、生化学、解剖学、組織学、免疫学といった多くの専門領域で培った知識や思考法をもとに、それを応用して種々の疾患の成り立ち、経過を理解することが大きな目標となります。

 そのためには、まず、人体の「正常な」構造や機能について学んだ、上記の各分野の知識をきちんと整理して、引き出しからすぐに取り出せる状態にしておくことが最低限必要です。充分な復習をしておいてください。

 病理学の講義には、3年後期に開講する病理学総論と3〜4年のチュートリアル学習の中で各コースに用意されている病理各論実習があります。また病理総論をさらに2つの部分に分けることにしました。ひとつは従来の「病理学総論」に相当するもので、もうひとつは「病理診断学総論」と呼べるものです。

 病理学総論では大きく分けて2つのことを学びます。ひとつは、種々の疾病でみられる形態学的変化はどのような機序で生成するのかについての普遍的な理屈です。この中には、「細胞障害」「変性、壊死」「創傷治癒」「炎症」「循環障害」といった項が含まれます。ふたつめは病因論です。これは疾病の原因に関わるもので、「免疫」「遺伝、先天障害」「物理的、化学的要因」「感染症」「腫瘍」などがそれにあたります。近年、医学の進歩に伴い、「免疫学」や「腫瘍学」の分野は病理学の枠を飛び出して独立した領域となっています。実際、皆さんもすでに「腫瘍学」「免疫学」「遺伝学」の講義を受けています。このような状況をふまえ、病理学総論では、「病因論」のパートを基礎各分野の復習と臨床へのスムーズな移行をめざすものとして位置づけます(基礎的事項は理解できていることが前提となります)。それに対して、病理学総論の前半部分、「病理形態学的変化の成立機序」は病理学固有のものであり、これから「病理診断学総論」やチュートリアルコースでの「病理学各論実習」で種々の疾患の病理標本を観察していく上でも基礎となる重要な分野となります。これについては、実習も含めてしっかり身につけてほしいと考えます。

 病理診断学総論では、近年重要さを増している病理診断の基礎を学びます。病理学総論の知識をもとに、形態学的変化の観察方法や形態学的な情報から病気の診断を行うための基本的な考え方について学び、実習を通じて身につけることを目標とします。組織学の知識が必須となりますので、復習をしておいてください。

 実習は、組織実習室にてバーチャルスライドシステムを用いて行います。これはデジタル化した病理標本をiPad上で自由に場所や拡大を選んで観察できるものです。学生同士や教員とのディスカッションもしやすいので充分に活用してください。

(英語の使用について)

  今後、疾患についての新たな情報は英語の情報源から得る機会が大幅に増えていきます。少なくとも専門用語、組織各部位の名称や疾患、病態の名称などは英語表記されても理解出来るようにしてください。それには英語の教科書をみるのが最適です。