・授業の目的
「アーカイブズ」という言葉を知っていますか?私たちは日々、様々な記録をつくり、何かの行為を行うために記録を用いながら社会生活を送っています。その記録は証拠として保持され、あるいは、過去の記憶として遺され、新たな物事を創造するための資源として活用されることもあるでしょう。そうした社会的な行為の記録の集積がアーカイブズと呼ばれるものです。社会のなかには国や自治体、企業、コミュニティ、家族などの様々な組織や団体が存在し、社会的な活動を行うなかで、記録を管理し、アーカイブズを保存しています。それでは、アーカイブズを社会のなかで遺していくことには、どのような意味があるのでしょうか。本講義では、アーカイブズが誰によって、何のために、いかに遺されてきたのかを世界と日本の多様な事例から学び、アーカイブズを管理するための理論や方法論について理解するとともに、現代社会においてアーカイブズがもつ意味を考え、これからの社会のなかでのアーカイブズの共有のあり方について考えることを目的とします。
・到達目標
1.各回の講義のテーマ・内容に関して正確な理解を得ることができる。
2.講義の全体を通して、毎回の講義で得た知識を総合し、アーカイブズ学に関する総合的で具体的な理解を得ることができる。
3.その理解を、最終試験において、正確な文章で表現する力量を身に付けることができる。
・授業の内容
第1回:オリエンテーション:アーカイブズとは何か
第2回:記録を作成し、保存するということ
第3回:ヨーロッパ世界のアーカイブズ-古代から中世・近世まで―
第4回:西欧近代のアーカイブズーアーカイブズの制度化と資料管理法の確立―
第5回:アメリカとカナダのアーカイブズ-収集の伝統と現代記録の管理―
第6回:アーカイブズの評価選別論ー資料の価値を評価するー
第7回:オーストラリアのアーカイブズーアカウンタビリティのための記録管理ー
第8回:アーカイブズへのアクセスー記録は誰のものか?ー
第9回:日本のアーカイブズ(1)ー明治期の文書管理から戦後の文書館法制定までー
第10回:日本のアーカイブズ(2)ー市民共有の知的資源としての公文書管理ー
第11回:日本の大学アーカイブズ
第12回:企業アーカイブズ
第13回:コミュニティ・アーカイブズ
第14回:専門職アーキビストの役割
※※授業内容は進度等により変更することがある。
- 教師: 清原 和之